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中村勘三郎さんのフジテレビの特番を見ていて、「こっちは命がけでやってるんだ!」と出演者を厳しく指導する彼の言葉が突き刺さりました。第一線で活躍している人がこうした必死の姿で表現の場に臨んでいる。だからこそ第一線であるということを改めて感じました。そして新たに優秀な若い人材を競争させながら育てようとする指導者としての姿にも大いに学ぶところがありました。
若い人をどのように育てるのか、日々悩むところでもありますが、新しい世代の価値観に触れてうれしかった番組もあります。私の大学の教え子の一人H君は、まだ卒業して2年の番組ADです。その彼が毎日荒川に通い、そこで「地域猫」と呼ばれている捨て猫と向き合い制作に関ったというその番組を見ました(テレビ朝日 「宇宙船地球号」)。物言えぬ小さな生き物たちの行動を暖かく、かつ客観的に記録した映像の中には、捨て猫を「命」と捉え地域猫として守ろうとする人々、糞尿は環境問題だと指摘する住民、更に不況の嵐の中で生活が破綻しペットを「置き去り」にしてしまった「ご主人」などが描かれていて、そこには声を出せない小さなものの目から見た日本の社会が浮かび上がっていました。
この立ち位置に彼の人柄−と言うより、彼の世代の立ち位置と言ったほうがよいかもしれません−を感じました。今の若者のほうが、弱い立場に寄り添う心を私たち大人よりずっと持っているのではないかとも感じています。競争することなく平和で豊かな社会に育った彼らの優しさは、弱さの裏返しであると言われますが、その側面も認めたうえで、宮城まり子さんの「優しいことは、強いこと」という言葉を、彼が関った番組から思い出しました。
メディア環境などの変化でフリーランスのアナウンサーの仕事の場は減る傾向にあります。アナウンサーはニュースの伝え手であることを基本にしながらも、表現者であることを考えれば、報道だけに偏らず、もっと表現の場を広げることは可能でしょう。勘三郎さんの芸に対する貪欲で真摯な姿に学び、教え子が関った番組に励まされ、どういう立場で、何を表現するのか、私自身がもっと貪欲に動こうと今年の計を立てた次第です。(2月ですが・・・。)
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